《動画ビジネス圏》最前線レポート

動画の未来を創る皆様にヒントとなれば幸いです。

料理・ファッション・教育・アウトソーシング〜動画ビジネスの最前戦が一気に掴めそうなイベントが開催

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来る7月26日(火)に動画のイベントが恵比寿クラウドワークスセミナールームで実施されます。ファッション×動画の「3ミニッツ」、料理×動画の「エブリー」、と教育×動画の「スクー」、動画制作サービスの「Crevo」の4社が登壇予定とのこと。

 

■ イベントページは以下(参加無料) 

peatix.com 

登壇4社について記事・リリースから

3ミニッツ(http://www.3minute-inc.com/

www.wwdjapan.com

jp.techcrunch.com

 インスタグラマーネットワーク「instagrammer.jp」や、動画メディア「MINE」、動画コマースアプリ「GINI」など、動画を中心としたファッション系サービスを展開する株式会社3ミニッツ。インフルエンサーを活用したサービス構築と、自社で高品質な動画制作を行うことで着実にサービスを伸ばしている模様。

キーワードとしては、「動画×クリエイティブ」と「タレントマネジメント」が世界観が重要視されるファッション領域においてポイントとなる。また、ネットワークや世界観を伝える動画制作については一朝一夕で構築出来るものではないため、先行者利益も取れそう。

3ミニッツが展開するプライベートブランド「eimy istoire」、EC会員先行ローンチ「初動累計売上5,000万円を獲得」|3 Minute inc.のプレスリリース

このプレスリリースのように、プライベートブランド展開や、多ブランドやメンズへの横展開を行っていくと思われます。

少し前の記事ですが、マシ・オカさんがジョインされていることから伺えるのは、世界標準の動画生成オペレーションと、クリエイティビティ、そして海外でのインフルエンサーネットワークの構築を行っていくと思われます。

「月商1億円も見えてきた」ーー女性特化YouTuberプロダクション・スリーミニッツにマシ・オカ氏が参加 #bdash - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

 個人的には、プライベートブランドを中心に据えた事業展開を行うのか、ファッション領域での動画マーケティング事業を総取り市に行くのか。いずれのビジョン(あるいは、分社化するなど)なのかは興味があります。プライベートブランドは利益幅の向上にも重要な打ち手なのに加えて、ブランド価値向上にも相乗効果がありそうですね。

エブリー(https://corp.every.tv/

jp.techcrunch.com

 自社メディアを持たずFacebookInstagramなどにコンテンツを投下する、「分散型動画メディア」を運営する株式会社エブリー。

2015年9月に創業だが、料理動画メディア「DELISH KITCHEN」では、Instagram30万以上、Facebookが110万人以上のいいね!数を獲得しており、月間リーチ数は他のライフスタイル領域、ママ領域、ニュース領域を合わせて2500万人以上。

60秒の料理作成プロセスを伝える動画を掲載しており、その中で扱われる調味料や調理器具の企業とコラボレーションしたネイティブ広告事業が好調のようです。

キーワードとしては、「分散型メディアへのコンテンツ生成の最適解」だと思います。また、動画を見て視聴ユーザーが「作ってみた動画」をハッシュタグで投稿するなど、認知から初期利用までのマーケティング・ファネルを進めることが出来ているのが面白いですね。

早くもレシピ本も発売されています。料理メディアの認知とブランディングを取りに行く良い戦略だと思います。

prtimes.jp

 ただ、料理以外で「DELISH KITCHEN」モデルを展開していけるかどうかは違う戦術を取る必要があるのではないかと思います。個人的には、「VICE」のように分散型でコンテンツを生成してポジショニングを築き、スポンサードコンテンツなどでマネタイズしていくのではないかと思います。独自のコンテンツ生成オペレーションの構築を行っていくのではないでしょうか。

Crevo(https://crevo.jp/

itpro.nikkeibp.co.jp

cgworld.jp

 世界中のクリエイターと動画を制作したい企業を繋ぐオンライン動画制作プラットフォームです。世界中の2,500名以上の優秀なクリエイターと企業を繋ぐサービスを運営する「Crevo(クレボ)株式会社」。

実写をともなう映像制作にとどまらず、特に、アニメーションを活用したサービス紹介動画やソーシャルメディアの動画広告等に強みを持っています。

他の3社と異なるのが、上記のようにサービス紹介にあるように動画広告やサービス紹介動画など、目的に応じた動画制作を自分たちのカラーにあった世界中のクリエイターに発注することができるという点にあります。

また、動画作成工程を関係者でオンライン上で共有していくことで「工業製品のように」作成することができる生産管理システム、「Crevo Basecamp」 がキラーなのではないかと思います。

動画制作(のみ)領域ではレッドオーシャンになっていくだろうということは、以前のエントリでも書きましたが、「なぜ動画を作成するのか」というコンサルティング領域から「動画作成オペレーション最適化」このあたりまで一番初めに拡げられた会社が動画広告の領域ではクライアントから選ばれるサービスになるのではないでしょうか。ツールが導入されていてコンテンツやデータがそのツールに紐付いていたらスイッチングコスト高くて面倒ですしね。

スクー(http://corp.schoo.jp/

www.atpress.ne.jp

www.atpress.ne.jp

 Web業界で働くためのオンライン動画学習サービス「schoo WEB-campus」を運営する株式会社スクー。2,700本以上の動画を自社で制作。23万人以上の会員が学習する日本最大級のオンライン学習サービスを提供。

データや行動ログを、サイト改善と動画企画制作に活用することで日々新しい学習体験を提供できるよう進化しています。

コーポレートサイトにあるように本丸はデータ。データを活用した学習体験のアップデートと学習効果の最大化が他の学習動画サービスとは異なる点。また生放送でのコンテンツ配信も行っており、その要素でも独自路線といえると思います。

自社でのコンテンツ生成、データ収集と分析、生放送配信など、2011年の創業から5年間行ってきていることもあり、動画学習といえばschoo WEB-campusというブランドポジションを築けているのではないかと思います。

 

長くなりましたが、以上です。イベントレポートも書いてみようかと思います。

オンライン動画の今を知る「10のトピックス」

オンライン動画の今を知るための10個のトピックスを挙げてみます。 

オンライン動画の今を知るための10のトピックス

1.動画広告におけるデータ分析・Analyticsがますます活用されるようになる

2.FacebookなどのSNSでの動画広告用の動画制作はレッドオーシャン

3.SVOD(定額制動画配信)はより一般的になる

4.領域特化型コンテンツはFacebookYoutubeなどプラットフォーム依存は高まる

5.ライブ動画を起点としてモバイルシフトは当然の流れでコミュニケーション主体へ

6.誰もが動画を創造できるようになっていく

8.オンライン動画に特化したクリエイターが増えていく

9.ブランドコンテンツ専用の動画スタジオなどのインハウス化が進む

10.動画制作オペレーションの効率化が進む

 

個人的には、「データ分析(コンテンツ生成/広告両方)」と「特化型コンテンツ」、「動画制作オペレーション」に興味があります。 

今後は、これら10個のトピックスについて掘り下げていきます。ぜひ、上記トピックスに当てはまるご担当者様は取材させていただけると嬉しいですw ではまた。

 

動画関連サービスの整理と2016年に加速するであろう3つのポイント

一口に動画事業といっても、何をコアにするのかによって随分と戦い方が変わってきます。「数秒単位の動画を制作せよ」や「facebookで動画に接触する際には字幕を入れろ」などの動画形態については、あくまでTipsの議論であって、本当に重要なのは動画を使ってどのレイヤーにサービスを提供するのか。あるいは、レイヤー内のどこで顧客・ユーザーに価値を提供するのかについて決定するのかを決めることからスタートします。

以下に、ざっくりとではありますが動画関連サービスにおけるビジネスレイヤーからの整理をした図を添付しています。

1.動画関連サービスのビジネスレイヤー

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■ 動画サービス大分類

・コンテンツ制作

・動画配信(AbemaTV/Netflixなど)

・プラットフォーム(Youtubeニコニコ動画など)

・CDN(インフラ)

マーケティング/広告

■ ビジネスモデルとしての分類

・広告(分析も含む)

・コンテンツ課金

サブスクリプション(定額課金)

・コンテンツ制作

・ライセンス販売

2.2016年に加速すると予想される3つのポイント

■ 動画広告を軸としたデータ活用・モバイル化の加速

上記の整理の中では、コンテンツレイヤーにおける「コンテンツ制作」「マーケティング/広告」が先行している領域です。そこに付帯して、データを活用した「Analytics」の領域が現状プレイヤーが増えてきてサービスが今年から加速していくと考えられます。

バイルでの動画展開は、「タテ型動画」や「短尺の動画」「ライブ動画」の動画の提供フォーマットをキーワードとして。そして「ニッチでもセグメントされた顧客へのリーチ」をキーワードとした、より顧客層にリーチするためのデータ分析やインフルエンサーを活用していくサービスが更に増えていくことにより企業マーケティング担当者は対応を迫られると予想されます。

■ 良質コンテンツの総取り合戦・サブスクリプションが加速

また、「動画配信サービス」は、《Netflix》をはじめとする海外の主要プレイヤーは日本市場でも、テレビ局と組んで定額課金モデル(サブスクリプション)を日本に拡げていくでしょう。動画配信サービスのプレイヤーは「より良質で、そこでしか見られないコンテンツ」を求めていくでしょうから、「パブリッシャー」や「コンテンツ制作」のプレイヤーとの事業提携が加速していくでしょう。

■ 動画を活用したユーザー×ユーザー/企業×ユーザーのコミュニケーションが加速

動画は「いまここ感」を伝える情報量の多いコミュニケーションツールです。モバイル化が進んでいく中で課題だったデータ通信量についても、短尺のおしゃべり動画をシェアする《Snapchat》 や《Snow》などのサービスでフォーマットからのアプローチが行われています。

また、料理動画を《facebook》と《Instagram》で配信する《DELISH KITCHIN》はInstagram上でのハッシュタグを用いた料理動画の投稿を促しています。動画そういった状況の中で、ユーザーとユーザー、更には企業とユーザーの動画を介したコミュニケーションが加速されると予想されます。

 今後は動画関連サービスにおけるカオスマップと、各レイヤーにおける主要プレイヤーの網羅もやっていきたいと考えています。加えて、上記の加速ポイントについては、データでの補足もやっていきたいですね。(この記事をアップデートしていこうと考えています)。不足や認識の齟齬など、ご意見ご要望ございましたらぜひ教えて下さい。ではまた。

当ブログについて

インターネット業界で動画×教育をテーマとしたお仕事をしています。

2011年あたりから毎年「今年は、動画元年ですが……」と言われ続けてきましたが、2016年はついに動画をテーマとした事業が各社立ち上がってきていた印象です。ついにやってきた動画元年!

 

インターネット業界における動画はまだまだこれからの事業領域ですので、私もこのブログ運営を通じて勉強しながら、動画をビジネスで活用されようとしている方々にとって気付きをお届け出来るように頑張ります。